室内楽シリーズ〜みなとみらい的IV 金聖響プロデュース 神奈川フィルの名手たち III

  1. ジェルベイズ:3つ舞曲
  2. エヴァルド:金管五重奏曲第3番
  3. シュトラウス:もう一人のティルオイレンシュピーゲル
  4. ストラヴィンスキー:兵士の物語

私はクラシックのコンサートはほぼ初体験なのですが、こんなに少ない人数でもこんなにふくよかな厚みのある音になるんだなぁと、音とメロディーに素直に聞き入りました。
3)からは弦楽器も加わりましたが、このシュトラウスの楽曲は元々は100名以上の楽団で演奏される曲ということですが、それを少人数演奏用にコンパクトにアレンジし直しているそうで、バイオリンと木管の音の絡み合いがおもしろく、トリッキーで繊細な動きが合って、いたずらっこの妖精にぴったりだなと思いました。
4)では語りとして置鮎龍太郎さんが加わりました。形式としては音楽劇というそうで、単純に演奏の合間に朗読を挟むだけではなく、特に主人公が行進するような場面ではリズムに合わせて変化をつけた語り調子が独特でした。そういった変化を含んだ語りや言葉を発する入るタイミングなど、指揮者の合図もありますが、台本はどうなっているのかなぁと不思議でした。60分はある全体の曲の構成を掴み、長時間何役も独りで演じ分け続け、大変な労力ではなかったかと思われます。
物語は、休暇中の平凡な兵士ジョゼフが偶然出会った老人にそそのかされ自分の数少ない持ち物であるバイオリンと老人の持っていた不思議な本とを交換し、その本がきっかけで大金持ちになるが、後になって自分にとって大事な物とは何だったかを悟り、バイオリンや今までの失ったものを取り返そうとするが・・・、といった内容でした。簡単に言うと「二兎追うものは一兎をも得ず」ということかもしれませんが、彼には自分というものがないというか、人の言葉に流されやすく、大切なことは何かを分かったはずなのにやはり最後まで欲には逆らうことができず、そういう人間の欲に対する弱さや哀れさを表しているのかなと思いました。


拍手が鳴りやまず演者さんが何度もステージに出てきて、一体これは何回続くのだろうか〜と不思議になりましたが、そういう流儀がちょっと分かった気がしました。