エリカ・ノッコルス(ワンダー・スタッフ)インタビュ−@TrashPit

http://www.trashpitmagazine.co.uk/ex_21_erica.html

伝説のバンド、ワンダー・スタッフに一番新しく加わったメンバー、バイオリニストのエリカ・ノッカルスは、ただでさえエキサイティングに混ざり合っているメロディーとソングライティングのポットに、なおも彼女独自のスタイルをもたらしている。
それは、イギリス全土とアメリカで続く、小さなクラブから最大の音楽フェスティバルまでに及ぶライブで演奏される楽曲のコンビネーションとして表れ、胸躍るアルバムとライブパフォーマンスを生み出し続けている。


グラストンベリー・フェスティバルのアヴァロンステージのヘッドライナーから戻ってきたばかりですが、どうでしたか?このような有名フェスに参加するのは初めてですか?合間に他のバンドを見たりしましたか?


私は夕方の5時にワンダー・スタッフのツアーバスの寝台から起き出てきたわ。Desparados(テキーラビール)とJack Dをバカ飲みした後だった。グラストンベリーの前の夜、ウォームアップのためにダッドリーのJB'sでライブを行ったからなの。ウォームアップしないと無理をするのじゃないかと予想できたから。
どうやら近くの仮設トイレの悪臭のせいで目が覚めて、そのときにバスはもうフェスティバル会場のところに停まっていて、バスのエアコンが壊れてて車内が30度にも暑くなったわ。やたら汗をかいて二日酔いのせいで意識も朦朧としてたからとにかくバスから出たくて、出てみて気づいたんだけど、アヴァロンステージのバックステージエリアは自分のいた場所から歩いて1時間もかかる場所だったの。グラストンベリーは私は今回で初めてだけど、不快な思い出が刻み込まれたわね。ウィッチウッド・フェスティバルで1か月ほど前にプレイした後だったけど、ゴーンフィッシュカレーの屋台がまたあると分かって気持ちを持ち直したわ。
ブルース・スプリングスティーン(私が唯一観たかったバンド)と同じ時間帯に私たちのステージが重なってしまったから、私たちバンドの観客動員数にしては、私の期待は高くなかった。でもそれは間違っていると分かったの。ワンダー・スタッフを観に来てくれた5000人以上のファンが今までに聞いたことがないような大歓声で迎えてくれたから。グラストンベリーは今までの中でもワンダー・スタッフの好きなギグとして終えることができたわ。すぐにでもまたグラストンベリーで演奏したいわね。


そもそもどうしてワンダー・スタッフに入ることになったのですか?以前はどれほどバンドと親しかったのですか?

マイルスとは編み物のサイトを通じて知り合ったと言って、面白がらせてるけど。
本当のことを言うと、私はバーミンガム音楽院でバイオリンの勉強をしていて、お金も稼がないといけないので、ストラトフォード・アポン・エイボンでストリート演奏することにしたの。観光客の前で演奏すると結構なお金になって、ある日ワンダー・スタッフのプロデューサーが通りかかって、私に注目してくれたの。そのときすぐにアプローチがあったのではないけど、1ヶ月後、私のプログレッシブメタルバンドFireswitchのリハーサルで使っていたハックリー・ストリート・スタジオのプロデューサーと会う機会ができたの。
マイルスの方から私に電話をくれて、私のベアウッドの学生用住所にCDを送ってきてくれて、オーディションに呼んでくれたの。そのときまで本当にワンダー・スタッフを知らなかったわ、牛のことを歌っていること以外にはね。だからオーディションを受けるのに軽く不安はあった。後になって気づいたの、弾き始めてたった2分で仕事を得られたって。その後はご存じの通りよ!


既存の楽曲を自分のものとして取り入れるのに、どれくらい自由があるのですか?それともできるだけオリジナルに近づけようとしているのですか?


オーディションルームに入るとすぐ、マイルスは紅茶を淹れてくれて、チョコレートチップ・クッキーをすすめてくれたわ。初めに彼が言ったことの一つは、「音楽を自分の思うようにして」ということ。それを聞いてすぐに気持ちが楽になったわ。とくに、私はCartoon Boyfriendのバイオリンパートが本当は好きじゃないと言って、わざわざ覚えようとも思わなかった。私が控え目で、それでいて平然としたな態度だから、関係もうまくいっているしそれが実りの多い音楽ができるきっかけになったように思う。
もちろんフィドリー(前のフィドル・プレイヤー)のパートを頭に置くようにはしているわ、音楽の設計図、考え方の基本とするために。演奏家として、フィドリーと私は二人とも信じられないほどスタイルが違うから、彼の作りあげたもの全てをまねてもうまくいくはずがない、だからそうしないだけ。私は私のやり方でやるわ。


昨年、アメリカでのアコースティックツアーをマイルスをウェイン・ハッシーと行いました。イギリスでのショーと比べてどうですか?好きな場所は?


あのUSツアーは先行きが不安だったわ。それまでにウェインとは二言しか話したことがなかったし、5週間も”旅の仲間”としてフェアーにやっていけるか分からなかった。ウェインとはニューヨークのヤッファ・カフェで出会ったの、互いの紹介とツアー前にちょっと飲むためにね。数時間と600ドルをバーで費やしたらもう、最高の仲間になったわ。ワインやシャンペンカクテルやバーボンを分け合って。そのほか、ビッグアップルが私たちに投げつけてくるものは何でもね!


アコースティックとフルバンドのショーのどちらが好きですか?ベールを脱いだ新バージョンのOn The Ropesをyoutubeで観ましたが、すばらしいですね。

どちらをプレイするのも同じくらい好きよ。よい面とあまりいいとは言えない面がどちらにもあるから。バンドでステージに立つと、バンドサウンド全体に注目が向かって個々のパフォーマンスはそれほど注目されない。ミュージシャンの集団としての魅力ね。
マイルスと私のアコースティックショーの場合、ステージという境が取り払われて、自分をすごくさらすことになる。アコースティックで私が楽しんでいることは、それはただハントとノッカルスが互いの直感を頼りに演奏を合わせるという精神的な面で、より”音楽的な”経験ができることね。


ニューアルバムをマイルスとリリースしたばかりですが、Not An Exitのときのレコーディングとはどのような違いがありましたか?


Catching More Than We Missは、私たちデュオとしての2枚目のアルバムで、Not An Exitよりももっと気にいる作品を作ろうっていう決めごとをしていたの。だって、私たちが何を目指しているかがより分かってきたから!
一貫性のあるサウンドで、ちょっとだけより大胆になっているアルバム。かなり風変わりなバイオリンとアレンジテクニックが入ってる。前衛的なもの(荒っぽく言い換えるならナンセンスなもの)を目指してるということじゃないの。”こんなヒドイの音楽学校じゃ教えないだろう”、みたいな。
'Catching〜'ではPlans In The Skyという曲でボーカルデビューもしたわ。自分のパートを書いていたとき私は酔っ払っていて、レコーディングのときもちょっとほろ酔いだった。もしライブで歌うことがあったら、私はきっと泥酔してるわね!お酒の力を借りて気持ちを強くしないと、シラフではとてもムリなの!
仮に私がこのアルバムに参加していなくて、私じゃなく友達が弾いていたとしたら、私は絶対買うわね。聞いていてとても楽しいアルバムなの。


Nemesisについてちょっと話してもらえますか?結成のいきさつは?あなたのマイスペースで聞けるプレビュー以外にどんな曲があるのですか?


あぁ、私のロックンロール・ストリング・カルテットのことね!
弦楽四重奏で100以上の結婚式で演奏してきたけど、演奏なんて聞いてくれなくて、私たちを雇うことを単にステータスシンボルとしてしか見てくれないから、結成を思い立ったのよ。結婚式のスタンダード曲を演奏するのに数年前から飽きてもいたし。私は教会や結婚式の朝食ルームを見てキョロキョロしてたわ。結婚式の招待客がバッハのG線上のアリアなんてもう聞きたくないといやなほど分かってるから。
私が目指すのはメタルやロックバンドの曲を弦楽四重奏の形にして演奏すること、モーツァルト ディヴェルティメントのように音楽的なメリットをもったいい曲をね。もとから私は、ロックで尖った2つの拳を、クラシック音楽の世界という顔にぶつけ続けているの。けなされて、「ロックなんて何のためにもならない」って先生達から言われてきて。
私は今スリップノットVermilionをアレンジしているところなの。the wonder stuffのRed Berry Joy Townのスウィートなアレンジもできたわよ!ミスター・ハント自身も私の努力に脱帽してくれたの!Nemesisは特別なイベントやパーティーの出演依頼を待ってるわ、こちらで予約してね www.myspace.com/lovenemesis


バイオリンはメインストリームの音楽の中では控え目に演奏される楽器で、バイオリニストがクラシック界からブレイクするのは難しいんじゃないかと想像するのですが、このことに関して特別な見解はありますか?

十分な想像力があれば、何でも達成できるものよ。そういう独創性を持って生れなければ、何でも周りのせいにして自分の望む方向へたどり着くことはできない。
バイオリニストがクラシック界からブレイクするのは難しいとは思わないわ。むしろクラシック界に切り込んでいく方が難しいんじゃないかしら。大方気取って、エリートで、昔気質で、宝石を散りばめているような、古い世界だから。
私が音楽院に通った理由は2つある。バイオリンの弾き方を習ってプロフェッショナルのスタンダードを学ぶことと、他のミュージシャンと知り合ってバンドを作ること。それこそ私がしたいことだったの。学生のころ、すぐに分かった。オーケストラに入ったり、他人が選んだ古い楽曲を演奏するのは私が目指しているものではないと。それに、毎日何時間も練習したくなかったし、共通項のない人と社交的に付き合っていくこともいやだった。
私は脱線してる、・・・ストリングセクションはポップスで広く使われているし、ギター主体のロックミュージック(私が普段避難しているような日常生活を描写したアプローチ。たとえばマニックスの曲を想像して)でも。だから、クラシックじゃない音楽でも、探究心があれば何も楽器的な不足はない。バンドで弾いて成功しているバイオリニストというのは、ユニークなプレイスタイルがあるからスポットライトを浴びているのであって、故意にノン・クラシックを標榜としているからじゃないのよ。


過去にThe Proclaimers (プロクレイマーズ)のステージにゲストとして出演したことがありますが、この秋のUKツアーにも出演予定はありますか?


昨年、マイルスと私はプロクレイマーズのショーに一度サポートで出たことがあって、その双子デュオが私にエディンバラ城でのライブの、胸が痛む賛歌「Sunshine on Leith」のゲストとして声をかけてくれたの。私の演奏が好きと言ってくれて、私も二人の誠実さが気に入ったし。エディンバラはずっと好きな街で、お城は特に好きだったから、そんな場所で10000人のもの熱狂的なファンに囲まれてステージができるなんて、思いもしなかったわ。プロクレイマーズはマイルスと私に2009年の10月11月の盛大なUKツアーのサポートをしないかと言ってくれているの。私はまたSunshine on Leithを弾くために一度は参加する予定よ。ミスター・ハントと私は、素晴らしい会場でいつもとは違うオーディエンスの前で演奏できるのを楽しみにしているわ。


このインタビューはTrashPitで、読者はみんなハードロック/ヘアメタル/グラムロックが大好きです!!あなたのコレクションで輝かしい一枚といえば?


マイルスと私はシュロプシャーでいっしょに住んでいるの。リビングがスタジオ兼用だから、結果的に家にはいつでも音楽があふれているわね、曲を書いて、レコーディングして、ミキシングして。グラスを手にして、マイルスなら間違いなくdodgyと名付けるような曲に合わせて歌ったり叫んだしていると、台所で特別なレシピを思いつくことがよくあるわ(私はとっても情熱的なコックなの)。
最近のシェフのお気に入りはデフレパードのアルバム「Slung」ね。 Type O NegativeのOctober Rustや、NINやメイデンなんかも加えてね・・・完璧なレシピね!