乃木坂倶楽部@シアターイワト

古澤徹さん作・演出の舞台 Rlung・風(ルン)第五回公演「乃木坂倶楽部」を観に行きました。

古澤さんと同郷の大正昭和の詩人萩原朔太郎の、離婚後過ごした乃木坂倶楽部というアパートの一室で展開される物語。戦争を背景とした時代、部屋を訪れる三好達治室生犀星辻潤・生田春月・宇野千代らとの交流や既に自殺している芥川龍之介との心の対話を通し、朔太郎のその飄々とした人柄、作家活動、芸術、生死観を、時に文学的に時にユーモラスに描いている作品。

私は朔太郎についてお恥ずかしながら全くというほど無知だったのですが、そんな私でも朔太郎の人となりや日常生活、友人関係やその友人たちの姿が分かりやすく、とても楽しめました。
友人達とのやりとりはコミカルで人間臭さがあるのに対し、死んでいるはずの龍之介との魂の対話とも言える部分は2人が真正面に対峙していて幻想的で、龍之介が言葉を発したその瞬間から舞台に流れる空気感がピンと引き締まり、そのときだけ異空間というか精神世界にいるような不思議な感じがし、友人達との日常世界と龍之介との幻想世界とのコントラストがおもしろかったです。


帰りに古澤さんと堀内賢雄さんが朔太郎の詩を朗読しているCDを買いました。